2021年9月9日 05時00分 (9月9日 05時02分更新) 区再編の目的について、浜松市は人口減少や少子高齢化などの課題を踏まえ、区役所の統合などで削減した経費を充て、効率的な市政運営を実現することだと説明する。再編後には、住民サービスの提供体制や住民自治の在り方が変わることも予想される。特別委は今後、新区の区役所の位置や住民自治の組織などについても協議する。 「再編によって住民サービスの低下を招かないようにすることが不可欠だ。低下するのであれば、住民は納得できない」。天竜区役所で四月に開かれた区協議会で、ある委員が市や市議会に不安を訴えた。 鈴木康友市長は市民の不安解消を狙い「再編しても住民サービスは低下せず、むしろ向上させる」と繰り返し説明してきた。市が五月に取りまとめた住民サービス提供体制の素案では、地域ごとの課題解決を強化するため、再編後は協働センターに正規職員を四十三人増員する方針を示した。 だが、市民サービスの提供体制を巡っては、現時点で市側と議会側の考えが一致しない点もある。 市は区役所について、複数の区が一つになる場合、最も人口が多い区の庁舎を存続させる方針。一方、最大会派の自民党浜松は、西区と北区の一部を含む新区は北区役所、東区の一部と浜北区を含む新区は浜北区役所を存続させる対案を示す。土木整備事務所についても、二〜三区案の場合は三カ所に減らす市の案に対し、全ての区割りで四カ所を維持する案を出した。 住民自治では、広域にわたる地域課題などを協議する組織と、身近な課題などを話し合う組織を一つずつ配置する「二層構造」とすると決めたが、詳細は未定のままとなっている。 市にとって最善の再編を実現するためにも、市や市議会には、市民自らがまちの将来を考えていけるような議論が求められている。
◆住民投票⇒議会主導へ
二〇一九年四月の浜松市長選・市議選と同日に行われた区再編の是非を問う住民投票では、市が提案した三区案は反対多数で実現しなかった一方、再編自体の賛否は拮抗(きっこう)。市議会の議論は継続することになった。 市議選で区再編に慎重だった自民党浜松が単独で過半数を占めたことを受け、市側は区再編を推進するため、市議会との協調や合意形成に重点を置くようになり、「議会主導」の形で議論がスタートした。市議会は二〇年九月、全員協議会で区再編について「必要」と判断。特別委は具体的な区割り案などの協議に入った。 特別委は三月、現行七区を二〜四区とする区割り六案(たたき台)を決定。五月には二三年二月定例会での区再編に必要な条例議決に向けた協議スケジュールを決定。八月には天竜区単独案を採用し、区割り案を三案に絞り込んだ。関連キーワード
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