『M-1グランプリ2021』で優勝した錦鯉(C)M-1グランプリ事務局
テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。【写真】『M-1グランプリ2021』で優勝した瞬間の錦鯉
■『M-1アナザーストーリー』「逆境の数だけ人生は美しい」というナレーションから始まり「ライフ・イズ・ビューティフル」という副題がついた『M-1グランプリ2021 アナザーストーリー』。カメラ163台、撮影403時間の密着に加えて過去の膨大なアーカイブを駆使して、エピソードトークでも話していた渡辺が警備員にマネージャーに間違えられた場面だったり、長谷川、渡辺それぞれのM-1初出場時(長谷川は2004年、渡辺は2003年)の映像などがふんだんに使われる。今回やはり印象的だったのは、“最強の敗者”オズワルドの姿。前年覇者の野田に「あなたたちは3回出てるんだから背負ってください。M-1というものを。優勝はしてこい、もちろん。優勝ともう1個乗っかちゃってるから。大会を背負うっていう」と野田らしいエールを受け、決勝当日にも劇場で漫才をして仕上げる。1本目を終え、畠中「理想の出順、理想の出来」、伊藤「これで獲れなかったらウソですよ」とつぶやくふたり。そしてファイナルラウンド、錦鯉の漫才を歯を食いしばりながら観る畠中と、耳を塞ぐ伊藤。その表情に胸を締め付けられた。錦鯉結成時は依存症のようにギャンブルをして、借金をしていた長谷川。それを辞めさせるために渡辺がしたのは、毎月新ネタを5本作ること。「根はまじめなんですよ。やろうって言ったらやるんですよ。ひとりだとどうしたらいいかわからない」と。すると長谷川も「錦鯉を組んでだんだん楽しくなってきた。そうしたら自然とギャンブルやる時間もなくなった」という。だから長谷川は「ずばり、錦鯉は渡辺隆なんですよね。隆がいたから今があるってやっぱ思いますもんね」と言うし、渡辺も「雅紀さんさえ売れてくれればいいくらいの気持ち。雅紀さんのおもしろさをもっと世の中の人に知ってほしい」「歳とればとるほど、あの人はおもしろくなっていくと思うんで。僕の代わりはいっぱいいるんですけど、雅紀さんの代わりはいないですからね」とお互い最大限に相方を称える。準々決勝で見せた漫才にはまだ、オチに「ライフ・イズ・ビューティフル」のセリフがない。そしてそのセリフが加わった漫才に「人生讃歌ともいうべき4分間」というナレーションが乗せられる。本番終了後、仲間たちに泣きながら祝福を受け、「50歳はまだまだ若いで」と巨人に、松本に「感動した」と声をかけられ号泣するふたり。「ありがとう、あんたのおかげですよ」という渡辺に長谷川「いやいや、ふたりで獲った」。親へ優勝報告するシーンには折坂悠太の「鶫」が流れる。またピッタリの歌詞。最後は事務所の恩人への報告。小峠にトロフィーを渡そうとするも「いいよいいよ、俺はいいよ」とトロフィーを持とうとしない小峠らしい王者へのリスペクトの仕方。ザコシショウは「ええやん、ようやった!」といつもと同じ第一声が本当にカッコいい。ザコシ「バカだったけどな、バカだけど突き詰めりゃエリートになるんだよ」。■『M-1グランプリ・アナザーアナザーストーリー』YouTubeで公開された、ラストイヤーで敗者復活戦を勝ち抜いたハライチのストーリー。2005年初出場の映像は、まるで子供のよう。「お笑い芸人になるというよりM-1で優勝するというつもりで始めましたから」「テレビ副業なんで。こっち本業なんで」という岩井がたまらなく魅力的。今年の決勝でのせり上がりで「もういいだろ。楽しもう」と出ていく。痺れる。■明日観たい番組:毎年恒例『芸人マジ歌選手権』今年も開催『一樹と和樹~なかよしおじさん2021振り返りドライブ』(テレ東)大竹一樹、飯尾和樹。『有吉の壁SP』(日テレ)「壁芸人No1決定」「聖地熱海で修学旅行」。『バナナサンド』(TBS)松本潤、香川照之、杉咲花、西島秀俊、片桐仁、馬場園梓。『ゴッドタンSP 芸人マジ歌選手権』(テレ東)劇団ひとり、日村勇紀、角田晃広、秋山竜次、後藤輝基、バカリズム、ハライチ、イワクラ。『見取り図×ニューヨークのなりたいテレビ』(日テレ)「カワイイ」をテーマに本気ロケ。『トゲアリトゲナシトゲトゲ×ぺこぱポジティブNEWS』(テレ朝)「コラボ討論企画」、「否定しないツッコミ」に福田、加納、サーヤが挑戦。『凪咲と芸人~マッチング×新日ちゃんぴおん。』(テレ朝)「真壁刀義選手×パンケーキ作り」「本間朋晃選手×番組オリジナルソング」「高橋ヒロム選手×アイドル自己紹介」。『99.9』(TBS)映画公開前夜祭・完全新作SP。高橋一生主演『岸辺露伴は動かない』(NHK)「六壁坂」。
文=てれびのスキマ