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ふくよかな体形をののしったり薄毛や顔のシミを指摘したりするような、コンプレックスや不安をあおるインターネット広告が横行している。2021年5月、Webサイトに広告や記事配信のシステムを提供しているpopIn（ポップイン）（東京・港）は、「広...
ふくよかな体形をののしったり薄毛や顔のシミを指摘したりするような、コンプレックスや不安をあおるインターネット広告が横行している。2021年5月、Webサイトに広告や記事配信のシステムを提供しているpopIn（ポップイン）（東京・港）は、「広告配信の基準を引き上げ、基準に該当した広告配信を停止する」と発表。規制を強化し、より信頼性の高い広告配信プラットフォームを目指すという。こういった取り組みを始めた背景と強化した審査手順について、ディスカバリー事業部マネージャーの小山智慧（ちえ）さんに話を聞いた。【関連画像】popInの広告審査画面イメージ。営業の審査を通った広告のみ、広告品質管理室が目視で審査していく。写真や広告主名、リンク先のURL、タイトルなどを一覧。表示を認めない場合は「NG」ボタンを押して、配信しない設定にする（取材に基づき編集部でページのイメージを作成）●コロナ禍がネット広告健全化の機運を高めた理由 「彼女が太ったから別れたい」「飲むだけで肌荒れが治る」――。そんなコンプレックスを助長するインターネット広告を見た経験はないだろうか。 電通によると2019年にインターネット広告費が初めて、テレビ広告費を超えた。2020年もDX化が追い風となり、前年に引き続きプラス成長を遂げ、2兆円を超える巨大市場になっている。一方、テレビ広告や雑誌広告に比べて、コンプレックスをあおる表現や差別的な表現、およびこれらを助長するような不快な広告が横行していることを問題視する声も上がっている。 Z世代をターゲットにしたコンサルティングを手掛けるネオレアが学生を対象に「SNS広告を見て、不愉快に感じたことはありますか？」と質問したところ、91％が「不愉快である」「不愉快に感じたことがある」と回答している。 850以上のWebサイトをネットワーク化し、提携する広告代理店140社以上の広告出稿を仲介しているpopInでマネージャーを務める小山智慧さんは、その原因を「市場の急成長に法規制が追い付いていない」と指摘する。 そんな中、同社が広告規制の強化を発表した背景には、コロナ禍と8月の薬機法改定があった。 「自粛期間中にインターネットを利用する人が増え、必然的にコンプレックスをあおるインターネット広告に接触する機会も増えました。そのため、女性は肌や体形を、男性は薄毛や体毛の濃さなどを指摘する広告を不快に思うという意見が、日本広告審査機構のJAROや広告主に多く集まるようになりました。popInの問い合わせページにも、同様の意見が届いています。 また、8月に薬機法が改定され、課徴金制度が導入されました。虚偽や誇大広告を行った企業だけでなく、配信先のメディアを含む「何人（なんぴと）」も 課徴金が課される可能性があります。法律が改定されて広告表記が注目されるこのタイミングで、消費者の意見も重く受け止め、広告規制の強化に至りました」 実は2017年にも、popInは広告関連企業と9社合同でネガティブ広告の配信停止について発表している。しかし、当時は問題意識が浸透しておらず、形骸化されてしまっていた。そのときの失敗を踏まえて、薬機法改正の追い風と消費者の意見も大きくなったこのタイミングで、体制を再整備して改めて配信停止を打ち出したという。
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