ハイレゾ・3Dオーディオ再生の「ωプレーヤー」とは
ωプレーヤーの存在を知ったのは、InterBEE 2021の特別公演をした際のこと。
12月17日までアーカイブ配信されているセッション「イマーシブオーディオの現状と将来動向」の中で、WOWOW エグゼクティブ・クリエイターの入交英雄氏がωプレーヤーを開発中であることを紹介。セミナーの収録後、入交氏に声を掛けられ、ωプレーヤーのデモを見せてもらった。
セッションの様子(配信URL:https://www.inter-bee.com/ja/forvisitors/conference/session/?conference_id=1763)ωプレーヤーを紹介する入交氏デモビデオは入交氏のMacBook Proの内蔵スピーカーを使ったものだったのだが、普通の音とは明らかに異なり、音が立体的に飛び出してくる用に聴こえた。
聞けば、この効果は「Auro Scene」という技術で、ステレオスピーカーでありながら3D再生できるというもの。Auro Sceneテクノロジーをωプレーヤーに実装することで、MacBook Proの内蔵スピーカーで立体的な表現を生み出しているのだという。
ωプレーヤーは開発の都合もあり、現時点ではMac版とiPhone版の2種類が用意される。Mac版の対応OSはMojave以降で、従来のIntel版はもちろんM1 Macでも利用可能。iPhone版はiOS 14以降が対象となる。Mac版とiPhone版では機能に違いがあり、具体的には表1の通り。またMac版、iPhone版それぞれの導入条件は表2のようになっている。
Mac版とiPhone版の違いアプリの導入条件今回はMac版アプリを事前提供いただいたので、それを使ってその内容を紹介していくが、ωプレーヤーのベータテスターに参加すれば、Mac版・iPhone版の両方を入手できるという。
今回の取り組みについて、入交氏は「以前からオンラインで高音質にイマーシブオーディオの配信ができないか、ということを検討していました。配信用としてはドルビーデジタルプラスなどはありましたが、音質面にはボトルネックがあり、いいコーデックを探していたのです。そうした中、Auro 3Dであればロスレスでいけるけど、いかんせんファイルサイズがでかい。そこでMPEG-4 ALS(MPEG-4 Audio Lossless Coding)などと掛け合わせる方式を3年前に考案し、開発を進めてきました。この度ようやくアプリとして完成し、実際にサービスとして成り立つものか、ユーザーを募って実験をしよう、というわけなのです」と話す。
WOWOW エグゼクティブ・クリエイターの入交英雄氏