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Googleが実装を進めているChrome拡張機能の新仕様「Manifest V3」は、ユーザーのプライバシーやセキュリティ、パフォーマンスを向上させるものとされています。ところが、Manifest V3によって広告ブロッカーなどの機能が大幅に制限されるとの批判もあり、デジタルにおける言論の自由を擁護する非営利団体・電子フロンティア財団(EFF)も、「Manifest V3は詐欺的で脅迫的です」と非難しました。Manifest V3: Open Web Politics in Sheep's Clothing | Electronic Frontier Foundationhttps://www.eff.org/am/deeplinks/2021/11/manifest-v3-open-web-politics-sheeps-clothingChrome Users Beware: Manifest V3 is Deceitful and Threatening | Electronic Frontier Foundationhttps://www.eff.org/deeplinks/2021/12/chrome-users-beware-manifest-v3-deceitful-and-threateningGoogleはChrome拡張機能の新仕様であるManifest V3を段階的に導入しており、2021年1月には「Chrome 88」でManifest V3をサポートし、2022年1月には従来のManifest V2に基づいた新たな拡張機能の追加を禁止する予定です。2023年1月にはManifest V2に基づいた拡張機能のアップデートも禁止され、2023年6月からはManifest V3に基づいた拡張機能しかChromeで実行できなくなります。
Manifest V3では、拡張機能がネットワークリクエスト内の全てのデータを評価し、リクエストを許可するかブロックするかをChromeに指示できる「webRequestAPI」が廃止されました。また、拡張機能のソースコードをリモートでホストすることが禁止されたほか、常時リソースを消費するバックグラウンドページから必要に応じて起動するサービスワーカーへの移行や、API全般を宣言的なモデルに移行して拡張機能が扱えるユーザーデータを制限するといった変更が加えられました。GoogleはManifest V3で加えられたこれらの変更について、ユーザープライバシーやセキュリティの保護、そしてパフォーマンス改善に向けた取り組みだと主張しています。しかし、Manifest V3では拡張機能とウェブサイト間のデータのやり取りや、開発者が拡張機能に持たせられる柔軟性が低下するため、結果として拡張機能のパフォーマンスが大幅に制限されるとの批判もあります。特に影響を受けるとされているのが広告ブロッカーであり、「Manifest V3は広告やトラッカーをブロックする拡張機能を無効化するためのものではないか」とも指摘されていました。Googleがウェブ上の広告を非表示にする広告ブロック機能をChromeなどで無効化するための施策を進める - GIGAZINE
その後、Googleは広告ブロッカーであるAdBlock Plusの開発者らと協力し、Manifest V3でも広告ブロッカーが正常に動作するように改修したと発表。ところが、別の広告ブロッカーを提供するAdGuardは、Manifest V3の導入を「悲報」としたブログ記事を投稿するなど、やはりManifest V3が拡張機能にもたらす悪影響は大きいようです。【悲報】Manifest V3が近づいていますhttps://adguard.com/ja/blog/manifestv3-timeline.html
電子フロンティア財団も公式サイト上で、「Manifest V3は支配的なウェブブラウザと最大のインターネット広告ネットワークの両方を制御するGoogleから来る利益相反の一例です」「Manifest V3はプライバシーの取り組みに対して非常に有害です。特にブラウザが訪問したウェブサイトを監視、変更、計算できるように設計されたウェブ拡張機能の機能を制限します。新たな仕様では、プライバシーを保護するトラッカーブロッカーのような一部の拡張機能は大幅に機能が低下します。Googleが上位100万のウェブサイト中75%にトラッカーをインストールしていることを考えると、拡張機能のアクセスを制限するGoogleの取り組みは懸念が残ります」と述べ、Manifest V3の導入を強く批判しています。また、実際に多くのChrome拡張機能はユーザーにとって有害であることが指摘されていますが、より徹底的なレビュープロセスを導入することで悪意のある拡張機能をブロックすることができます。しかし電子フロンティア財団は、Chromeがレビュープロセスの向上ではなく、全ての拡張機能のパフォーマンスを制限することで対策したと指摘しています。「ウェブブラウザの拡張機能の開発仕様は、取るに足らない問題に見えるかもしれませんが、より広範な影響は全てのインターネット市民にとって重要です。これはGoogleがオンラインでの生き方を定義するもう1つのステップです。Googleが長年にわたって世界最大の広告企業であることを考えると、これらの新しい制限は家父長主義的で不気味です」と、電子フロンティア財団は述べました。
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in ソフトウェア, ネットサービス, セキュリティ, Posted by log1h_ik
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