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新型コロナの「スパイクタンパク質」が心臓の細胞に悪影響を与えるとの研究結果、ウイルス本体が消えても人体へのダメージが続く可能性

×サイエンス

これまでの研究により、新型コロナウイルスは肺だけでなく心臓や腎臓などの臓器にも血栓を生じさせることが分かっています。さらに、心臓の血管にある細胞を新型コロナウイルスのタンパク質にさらす実験により、直接ウイルスに感染していない心臓の細胞がウイルスのタンパク質によりダメージを受ける可能性があることが確認されました。The SARS-CoV-2 Spike protein disrupts human cardiac pericytes function through CD147-receptor-mediated signalling: a potential non-infective mechanism of COVID-19 microvascular disease | bioRxivhttps://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.12.21.423721v2Covid-19 spike protein binds to and changes cells in the hearthttps://www.bhf.org.uk/what-we-do/news-from-the-bhf/news-archive/2021/august/covid-19-spike-protein-binds-to-and-changes-cells-in-the-heartCOVID-19 Spike Protein May Change Cells In The Heart | IFLSciencehttps://www.iflscience.com/health-and-medicine/covid19-spike-protein-may-change-cells-in-the-heart/新型コロナウイルスの表面にはウイルス粒子を細胞の表面に結合させる役割を持ったスパイクタンパク質が存在しています。イギリス・ブリストル大学の研究者らは、新型コロナウイルスが人体の微小血管で障害を発生させるメカニズムを調べるため、心臓から採取した細胞に新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を加える実験を行いました。

研究チームが、心臓の微小血管にある周皮細胞をスパイクタンパク質に暴露させた結果、細胞の正常な機能が阻害され、サイトカインストームと呼ばれる異常な炎症反応の原因物質が分泌されることが分かりました。かねてから、新型コロナウイルスが消滅した後もスパイクタンパク質が血流中に残り、感染部位から遠く離れた場所まで移動することを示す研究結果が報告されていることから、研究チームは「この発見は、体内を循環するスパイクタンパク質が血管内の細胞の機能不全を引き起こし、感染部位から離れた臓器の血管に障害を発生させる可能性を示唆しており、臨床的にも重要な意味を持つ可能性があります。なぜなら、高血圧・糖尿病・肥満などの基礎疾患により血管が損傷し血管透過性が亢進している患者では、スパイクタンパク質が容易に周皮細胞の間に広がり、微小血管の障害を引き起こしたり悪化させたりするおそれがあるからです」と指摘しました。

今回の研究では、新型コロナウイルスに感染していない細胞がスパイクタンパク質によりダメージを受けるメカニズムだけでなく、それを防げる可能性のある発見も報告されています。研究チームが、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質と結合することで知られているCD147という受容体の働きをブロックしたところ、細胞とスパイクタンパク質の反応が止まったとのこと。今回の研究には携わっていないグラスゴー大学心臓血管医学研究所のジェームズ・ライパー教授は、イギリス心臓病支援基金の取材に対し、「この研究結果は、新型コロナウイルスが心臓や循環系にどのような影響を及ぼすかについての理解を一歩前進させ、心臓を守るための新しい治療法につながる可能性のあるものです」とコメントしました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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